サステナビリティ

TCFD提言への取り組み TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同について

株式会社淺沼組(社長:浅沼 誠、本社:大阪市浪速区)は、金融安定理事会※により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)」が公表した最終報告書(以下、TCFD提言)への賛同を2021年11月に表明しました。

当社は、「顧客・協力会社、株主、社員の満足度の向上、および地球環境・社会への貢献に邁進する企業」を長期ビジョンに掲げ、自然・社会の一員として、持続可能な社会の実現に向けて、環境負荷の低減および環境の保全等、様々な施策に取り組んでいます。

今回TCFD提言に賛同することで、今後は地球温暖化の進行による気候変動がもたらすさまざまな影響に加え、パリ協定に基づく世界の動きや日本政府の方針も踏まえ、環境と経済を両立させる環境経営を推進し、TCFD提言に沿って気候変動関連情報の開示を拡充していきます。



■ TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)について
2015年にG20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)※により設立されたタスクフォースです。2017年6月に最終報告書を公表し、企業等に対し気候関連情報について開示することを推奨しています。

※各国の金融関連省庁及び中央銀行からなり、国際金融に関する監督業務を行う機関

ガバナンス

淺沼組は経営の基本方針のもと、持続可能な社会の実現と持続的な企業の成長を目指し、環境や社会の様々な課題に取り組んでいます。企業を取り巻く環境の変化を的確に捉え、サステナビリティ関連の課題に対する活動計画を中長期的な視点で協議し、経営会議に答申することを目的として、「サステナビリティ推進委員会」を2021年11月に設置しました。
「サステナビリティ推進委員会」は、代表取締役社長を委員長とし、建築事業本部建築企画部長、土木事業本部土木企画部長、安全品質環境本部品質環境部長、および主要管理部門長による構成とし、原則月1回開催し、次の事項を審議または決議し、事案によって経営会議に答申しています。
・当社のサステナビリティ推進に関する方針・戦略・計画・施策
・機関決定されたサステナビリティ推進に関する施策等の社内通知
・当社におけるサステナビリティ推進の実績評価および報告
・その他サステナビリティ推進に関する重要事項の検討


気候変動に関するガバナンス体制

リスク管理

サステナビリティ推進委員会にて事業における気候変動関連リスクおよび機会の特定および評価を行っています。また、各事案については経営会議にて審議し、重要課題を特定の上、社内へリスクおよび機会の浸透を図っています。
シナリオ分析については、2100年時点において、産業革命時期比の気温上昇が1.5℃程度に抑制されるシナリオと4℃程度気温が上昇するシナリオを採用し、2030年における国内建設事業への影響を試算しています。各シナリオでは、政策や市場動向および技術関連を移行リスクとして特定し、異常気象による影響や災害などを物理リスクとして特定しました。

リスク/機会 項目事業への影響評価




政策
規制
炭素税の導入・
炭素単価の上昇
・炭素税導入や炭素価格の上昇により、建設コストが増加する
政策
規制
GHG排出目標の厳格化・目標値達成のためのさまざまな追加コストの増加により、管理費が上昇する
市場施主の要求内容・
評価項目の変化
・脱炭素化に関する施工実績、提案内容の高度化への対応の後れにより、競争力が低下する
技術省エネ・脱炭素化技術の
普及、促進速度の増幅
・技術開発の後れや開発コストの増加により、競争力が低下する
評判ESG・SDGs活動に対する
ステークホルダーの評価の厳格化
・ESG・SDGs活動の低評価により、企業評価が低下する




慢性平均気温の上昇・労働環境の悪化により、業務効率・生産性が低下する
労働環境改善のさまざまな追加対策により、管理費および建設コストが増加する
急性異常気象の激甚化・降雨・強風等に起因する工期遅延等対策(サプライチェーンの分断による調達資材の確保対策コスト含む)の増加により、建設コストが増加する



政策
規制
脱炭素建物への
社会制度、規制の強化
・脱炭素関連認証(ZEB・WELL等)の取得による他社との差別化により、競争力が向上する
市場
技術
省エネビル、既存建物
長寿命化の需要の拡大
・市場のニーズへの的確な対応(新築におけるZEB対応、リニューアル事業における長寿命化技術の提案力向上等)による付加価値向上により、競争力が向上する
・脱炭素建物の提供によるエネルギー費用の削減効果により、競争力(顧客からの信頼度)が向上する
評判環境課題への取り組みに対する
ステークホルダーの評価の向上
・CO2排出削減企業に対する高評価により、企業価値が向上する
・環境配慮技術の開発による他社との差別化が進み、企業価値が向上する



慢性平均気温の上昇・気候変動に貢献する環境配慮型関連の建物需要が増加する
・室内環境の快適性に関する需要増加により、保有技術の活用が進み、競争力が向上する
急性異常気象の激甚化・自然災害からの復興のための防災・減災、国土強靭化関連の建設需要が増加する
戦略

淺沼組は、2010年度より地球温暖化防止対策活動として「エコフレンドリーASANUMA21」を推進しており、2021年度には、日本政府による「2050年までにカーボンニュートラル達成」の宣言に賛同し、
「エコフレンドリーASANUMA21」を改定しました。また、2024年度を初年度とする「中期3ヵ年計画」においては、注力する6つのテーマとして ①国内コア事業の強化 ②リニューアル事業の強化 ③人材の獲得・確保・育成 ④DX推進 ⑤ガバナンス・コンプライアンス・リスク管理の強化 ⑥環境・社会への貢献 を掲げ、様々な施策に取り組んでいます。
TCFD提言への賛同を機に気候変動による事業活動への影響をTCFDの提言に基づき、リスクおよび機会を特定し、評価の上、気候関連の問題が事業に与える影響を中長期的な視点でシナリオ分析を実施しました。

リスク/機会 項目シナリオ 淺沼組の対応
4℃ 1.5℃
炭素税導入・炭素価格の上昇による建設コストの増大 − − −「エコフレンドリーASNUMA21」の推進
 ①脱炭素化の推進
 ②資源の循環
 ③自然と社会との共生
→エコフレンドリーASANUMA21
GHG排出目標の厳格化による追加コストの増加   − −
ESG・SDGs活動に対するステークホルダーの評価の厳格化 − − 環境・社会への貢献活動の取組みと広報の強化
→中期3ヵ年計画
→統合報告書
施主の要求内容・評価項目の変化への対応競争の激化 − − 「ReQuality」リニューアルブランド戦略の推進
環境配慮・循環・健康に関する取組みの推進
(GOOD CYCLE PROJECT)
→GOOD CYCLE PROJECT
省エネ・脱炭素化技術の普及、促進速度の増幅による技術開発競争の激化 − − 「ZEB・ZEH推進基盤の整備・強化
→省エネ(ZEB・ZEH)
気候変動に対応する環境配慮型・長寿命化型関連の建物や平均気温の上昇による室内環境の快適性に関する需要の増加 + + 環境配慮型提案力の強化
環境配慮等の高負荷価値な設計・資材等の提案
「ReQuality」の一環での「室内環境シミュレーション技術」「地震モニタリングシステム」等の活用促進
→ReQuality ADVANCE技術
平均気温の上昇による労働環境の悪化影響の増大 − − DX推進による生産性向上等への取組み
→中期3ヵ年計画
→統合報告書
異常気象の激甚化に起因する対策コストの増加 − − 防災・減災、国土強靭化事業への取り組みの強化
自然災害からの復興のための防災・減災、国土強靭化関連の建物需要の増加 + + 耐震技術の拡充と免震・制振技術の高度化
BCP(事業継続計画)体制の構築強化
指標と目標

当社は、施工段階でのCO2排出量(Scope1/2)の削減目標として「施工高1億円当たりのCO2排出量を1990年度比で2030年度までに60%、2050年度までに90%削減」を設定しています。また2022年度よりサプライチェーン全体のCO2排出量の算定に取り組み、その中で最も排出量の多い「引き渡した建物の使用時に排出するCO2(Scope3カテゴリ11)」の中長期的目標として、「CO2総排出量を2021年度を基準年として、2030年度までに15%、2050年度までに35%削減」を掲げています。





CO2削減目標一覧

※表が横にスクロールできます

対象 単位 基準年度 目標年度
年度 排出量 2030年度 2050年度
Scope1/2
(建設工事のみ対象)
原単位 t-CO2/億円※1 1990 30 12
▲60%
3※2
▲90%
総量 t-CO2 1990 74,193 16,322
▲78%
3,710
▲95%
Scope3
カテゴリ11(自社設計+他社設計)
総量 t-CO2 2021 693,428 589,414
▲15%
450,728
▲35%

※1:完工高1億円当たりの排出量

※2:目標値の見直し(2023年8月)


ページの
トップへ