IR Report

89株主通信

2023年4月1日から2024年3月31日まで

TOP MESSAGE トップメッセージ

顧客・協力会社、株主、社員の満足度の向上、
および地球環境・社会への貢献に邁進する企業を目指して

代表取締役社長浅沼 誠

Q1 2024年3月期の実績についてお聞かせください

当社を取り巻く情勢を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症の法的位置付けが5類感染症に移行されたことにより、経済活動もほぼ正常に戻りました。一方で、円安の影響や混迷するウクライナ・中東情勢など地政学的リスクによる世界経済への影響も不安視され、先行き不透明な状況が続きました。

建設業界では、公共建設投資は前年度並みの規模で、公共事業関係費が確保されているなど堅調に推移しました。また、民間建設投資につきましては企業の工場や物流施設等への設備投資意欲は引き続き堅調ですが、建設コストの上昇などから、新規工事着工に足踏みする様子もうかがえました。

このような状況の中、当社は前中期3ヵ年計画の総仕上げとして施策に取り組んでまいりました。その結果、2024年3月期の連結業績は、売上高が良好な受注環境を背景に前期比で増加し、計画を達成することができました。利益については、ロシアのウクライナ侵攻よるサプライチェーンの乱れや業界全体の人手不足により、計画策定当初の想定を超える建設資材、労務価格高騰があったものの、シンガポール子会社の業績が好調だったことや、特別利益が発生したこともあり、おおむね達成することができました。

Q2 2025年3月期の計画について教えてください

今後の見通しにつきましては、建設投資については引き続き底堅く推移するものと予想されるものの、建設資材の価格高騰や労務需給の逼迫、国際情勢の悪化等に伴う企業の設備投資意欲の減退などについて引き続き注視が必要です。

これらの外部環境を踏まえ、2024年度を初年度とする新たな中期3ヵ年計画を策定、スタートを切りました。創業140年を迎える2031年度に向けた長期ビジョンとして掲げております「顧客・協力会社、株主、社員の満足度の向上、および地球環境・社会への貢献に邁進する企業」に向けて、これからの3年間で注力することとして6つのテーマを選定いたしました。それぞれのテーマに沿った施策を策定し、さらには、各テーマの成果を示す指標としてKPIを設定しております。

連結業績計画につきましては、売上高は1,536億6千万円(前期比9億8千3百万円増)、営業利益59億3千万円(前期比18億7千2百万円増)としております。売上高は前期に引き続き施工効率の良い倉庫等の案件の工事を順調に進め、ほぼ横ばいの計画としておりますが、利益については選別受注を一層強化し、増益を計画しております。受注高については、前期は施工効率の高い倉庫等の大型案件を受注できましたが当期はそれらが例年並みと見立てており、当期の受注高は1,412億円(前期比361億6千6百万円減)と計画しております。様々な課題のなかで施策を着実に実行し、全社一丸となって業績計画を達成してまいります。

Q3 中期3ヵ年計画(2024-2026年度)について

先ほど申し上げました中期3ヵ年計画の『6つのテーマ』についてご説明いたします。
「国内コア事業の強化」:当社の中核事業である建築・土木事業のより一層の戦略的・効率的な展開を図ってまいります。
「リニューアル事業の強化」:前中期3ヵ年計画で旗揚げし、事業柱となったリニューアル事業について、国内外ともにレベルアップを図りたいと考えております。
「人材の獲得・確保・育成」:人材獲得における競争が激化している中、より活力ある組織となるために、採用面や働く環境の整備、人材育成を強化してまいります。
「DX推進」:前中期3ヵ年計画からの継続課題であり、快適・効率的な業務の実現に向け取り組みます。
「ガバナンス・コンプライアンス・リスク管理の強化」:2023年の営業停止処分や情報漏洩事案を重く受け止め、より一層のコンプライアンス意識の醸成とリスク管理が重要と考えております。
「環境・社会への貢献」:施策の実行のみならず、環境配慮等を付加価値とした事業を強化してまいります。

Q4 株主還元・配当について

利益配分につきましては、株主の皆さまへの利益還元を最重要施策として考え、それを実現するため、将来の事業展開に必要な新技術を開発しつつ、会社の競争力の維持強化に努め、業績に裏付けられた成果配分を行うこととしております。
前中期3ヵ年計画における株主還元計画として掲げておりました連結配当性向70%以上は3期共に達成し、2024年3月期の配当額は、203円となりました。2025年3月期につきましても、効果的な投資への資金を確保しつつ引き続き連結配当性向70%以上を維持いたします。
また、当社はこれまで年1回の期末配当のみを実施してまいりましたが、株主の皆さまへの利益還元の機会を充実させるために、2025年3月期より中間配当制度を導入いたします。さらに、より投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図ることを目的として、当社普通株式1株につき5株の割合で株式分割を実施し、2025年3月期の配当金額につきましては1株当たり35円を計画しております。

Q5 新体制、長期ビジョン、今後の経営方針について

2024年4月に長期ビジョンを新たに設定し、経営方針を変更いたしました。
長期ビジョンは創業140年時点でのありたい姿「顧客・協力会社、株主、社員の満足度の向上、および地球環境・社会への貢献に邁進する企業」としました。
当社はあらゆる方々に支えられて事業を営んでおり、全てのステークホルダーに満足していただき、「淺沼組で良かった」と思っていただける事業活動を行う会社でありたいと考えています。お客様には「より良い建造物を提供する企業」、協力会社様には「良いパートナーとして安定的に取引できる企業」、株主様には「安定的かつ業績に応じた株主還元をする企業」、社員には「安定的な処遇とがんばりに報いる企業」であり、地域社会には「社会課題や環境問題等に真摯に取り組み、貢献する企業」であることです。
そして経営方針ではこれまでと当社の考えは変わらず、より当社の考えが伝わりやすいようシンプルな文章にいたしました。創業者 淺沼幸吉の「仕事が仕事を生む」の信念の下、引き続き誠実なモノづくりに専心してまいります。

皆さまにおかれましては、今後とも格別のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

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HIGHLIGHTS 連結業績ハイライト

2024年3月期は連結業績計画を概ね達成

2024年3月期は、施工効率の高い倉庫等の案件が多く、またこれらの工事が順調に進捗したことにより、受注高・売上高ともに増加しました。利益については資材・労務価格の上昇等により減少しましたが、シンガポール子会社での業績が好調だったことや、特別利益が発生したこともあり、2024年3月期の連結業績計画は概ね達成することができました。

  • 受注高

    1,773

    66百万円

    前期比

    22.5%増

    up
  • 売上高

    1,526

    76百万円

    前期比

    5.7%増

    down
  • 営業利益

    40

    57百万円

    前期比

    28.7%減

    up
  • 親会社株主に帰属する当期純利益 / ROE

    46

    70百万円

    前期比

    11.2%増

    up
  • 連結貸借対照表の概要

    ※記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しております。

    資産は前期末に比べ8.8%増加し、1,012億5千1百万円となりました。これは受取手形・完成工事未収入金等が
    36億1千4百万円増加し、投資その他の資産に含まれる投資有価証券が17億8千万円増加したことなどによります。
    負債は前期末に比べ8.6%増加し、525億4千5百万円となりました。これは短期借入金が50億円、1年内返済予定の長期借入金が42億7千8百万円それぞれ増加し、長期借入金が流動負債の1年内返済予定の長期借入金への振替で46億2千6百万円減少したことなどによります。
    純資産は前期末に比べ9.0%増加し、487億5百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や配当金の支払などの結果、利益剰余金が15億7千9百万円増加したことなどによります。

  • 連結キャッシュ・フロー計算書の概要

    ※記載金額は、百万円未満を切り捨てて表示しております。

    売上債権の増加及び、その他に含まれる未払消費税等の減少により、営業活動は31億6千9百万円の資金減少となりました。
    投資活動では有形固定資産の売却などにより、26億4千9百万円の資金増加となりました。
    財務活動では短期借入金の増加などにより14億1千万円の資金増加となりました。
    これらの結果、現金及び現金同等物は、前期比10.5%増加の130億3千1百万円となりました。

TOPICS 中期3ヵ年計画(2024~2026年度)を策定

前中期3ヵ年計画(2021~2023年度)の振り返り

前中期3ヵ年計画では「変化に挑戦」を掲げ、外部環境変化への対応として、主に3つの分野に取り組みました。

1.維持・修繕事業投資(リニューアル)

リニューアル全体

  • 当初計画の「リニューアル事業からの営業利益を連結営業利益の35%以上」を達成。収益柱として確立

国内リニューアル

  • 国内建築リニューアルブランド『ReQuality』を立ち上げ。ブランディングや技術・提案力の土台を構築
  • 名古屋支店の「環境・健康を配慮した全面改修」を実施。フラッグシップとして営業活動にも活用

海外リニューアル

  • シンガポールのリニューアル関連会社Evergreen Engineering & Construction Pte. Ltd.を子会社化
  • 子会社化した2社のシンガポールのリニューアル関連子会社での事業が好調、連結業績に寄与

2.生産労働人口の減少への対応

協力会社連携

  • 協力会社の資金負担の軽減を企図した協力会社宛支払の100%現金化を継続実施

DX推進

  • DX推進委員会を設置し、全社横断的なDX推進体制を構築。特に施工関連DXを推進
  • 若手社員向け体験型現場教育システムを他社と共同開発し、DXを活用した人材育成の推進

多様な働き方

  • 職務給・地域総合職制度・70歳までの定年後再雇用制度等、多様な働き方をサポートする各種制度を導入

3.非財務経営活動(ESG・SDGs等)

環境配慮

  • 「人間にも地球にも良い循環」をテーマとし、SNS発信等のPR活動を開始
  • CO2排出量削減目標の拡大(スコープ3カテゴリ11の追加)
  • 再生可能エネルギー電力を全新規着工現場に導入
  • CDP(国際環境NGO)より2023年度SCORE「B」と相応の評価を取得

ガバナンス強化

  • 政策保有株式の縮減方針を定め、毎期首の取締役会で個別銘柄毎の保有適否を検証し、銘柄数縮減(2023年度末時点の上場株式の連結純資産比率は11.8%)
  • 東証プライム市場への移行・CGコード第二次改訂に対応
  • 譲渡制限付株式報酬を役員に加え全社員へ付与を開始。全社一丸の企業価値共有を企図

継続課題

人材獲得における競争が激化。採用及び働きやすい環境づくりはテコ入れが必要

直近期は資材価格高騰等により利益率が低下しており、利益率確保に向けた策は引き続き必要

リソース配分の都合により、前中期3ヵ年計画におけるDX推進は道半ば

営業停止処分、情報漏洩事案が発生。一層のコンプライアンス意識醸成・リスク管理が重要

中期3ヵ年計画(2024~2026年度)

テーマ

3ヵ年で注力することとして、6つのテーマを選定

*1 主に建築(新築)を指す

*2 創業140年時点(2031年度(2032年1月20日))でありたい姿。2024年4月より長期ビジョン・理念・方針などを修正

KPI

各テーマの最終年度(2026年度)における成果を示す指標としてKPI*3(重要達成度指標)を新たに設定

テーマ
(3年間で注力すること)

財務・非財務 KPI

1

国内コア事業の強化

顧客満足度スコア*4

80点以上(直近2期平均)

2

リニューアル事業の強化

連結営業利益における
リニューアル営業利益

40%以上

3

人材の獲得・確保・育成

エンゲージメントスコア

70点以上*5

4

DX推進

労働1時間あたりの
売上総利益*6

6,000円以上

5

ガバナンス・コンプライアンス・リスク管理の強化

重大な法令違反件数

0

死亡災害

0

6

環境・社会への貢献

CO2排出量削減率*7

スコープ1+2

75%(1990年度対比)

スコープ3 カテゴリ11

8%(2021年度対比)

*3 Key Performance Indicatorの略。重要達成度指標。

*4 竣工時に受領する顧客満足度アンケートの回答及び工事成績評定を点数化

*5 全社員を対象としたストレスチェックにおけるエンゲージメントに関わる質問項目に対し、4段階中上位2つを回答した割合を点数化(スコア70点は当該割合が70%以上)

*6 売上総利益(連結)÷全社員の労働時間(個別)

*7 スコープ1・2は1990年度対比の削減率、スコープ3カテゴリ11は2021年度比の削減率。2030年度・2050年度目標達成に向けた指標

業績・財務計画

(単位:百万円) 2023年度実績
前中期3ヵ年計画
最終年度
2024年度 計画
中期3ヵ年計画
初年度
2026年度 計画
中期3ヵ年計画
最終年度
2023年度実績対比のコメント
連結 売上高 152,676 153,660
151,000
  • 施工効率の高い倉庫等の案件獲得は一服、人手不足も加味し、売上高は微減(▲1.1%)
売上総利益 14,149 16,100 17,200
  • リニューアル事業等の利益率の高い事業の強化、DX推進等による業務効率化により、売上総利益率増加(+2.1P)
  • 人件費高騰等を加味するも、営業利益率も増加する計画(+1.5P)
同率 9.3% 10.5% 11.4%
営業利益 4,057 5,930 6,400
同率 2.7% 3.9% 4.2%
親会社株主に帰属する当期純利益 4,670 4,020 4,900
純資産*8 47,622 47,016 49,800
  • 利益により着実に積み上げ
ROE 10.2% 8.5% 10.0%
  • ROE・ROIC共に株主資本コスト4.9%・WACC4.1%*9以上を維持、資本効率を意識した経営を継続
  • ROEは2023年度の一過性の要素*10を排除し、減少(▲0.2P)
ROIC 4.5% 6.7% 6.8%
配当性向 70.0% 70.3% 70.0%
  • 配当性向は前中期計画に引き続き70%を維持する
  • 配当額については、2023年度における一過性の要因(特別利益)*10を排除し、2024年度は減配計画なるも、2026年度では増配計画
配当(額) 203.0円 175.0円
(35.0円)*11
212.5円
(42.5円)*11

*8 非支配株主持ち分除く

*9 2024年3月31日を基準とした株主資本コスト・WACC

*10 2023年11月8日付「固定資産の譲渡および特別利益(固定資産売却益)の計上に関するお知らせ」にて開示の通り、売却益が含まれた利益

*11 株式分割後の金額

株主還元・投資計画

株主還元

2023年度(前中期3ヵ年計画) 2026年度(中期3ヵ年計画)
方針 利益が生む資金を投資と配当に配分
効果的な投資への資金を確保しつつ、前中期3ヵ年計画での配当基準である「配当性向70%以上」を維持
配当基準
  • 基準:配当性向50%以上(当初計画)
    ⇒70%(変更後)
  • 実績:3期共に配当性向70%以上を確保
基準:配当性向70%以上
配当額(円) 最終年度203.0円 最終年度 212.5円(42.5円*12
その他
  • 株式分割(5分割)を実施予定(2024年8月1日効力発生日として予定)
  • 中間配当制度を導入予定

*12 株式分割後数値

投資内容

(単位:億円) 2021-23前中期計画
実績
2024-26中期計画
投資内容 46 70
①リニューアル事業の強化 41 57
国内リニューアルブランド「ReQuality」の推進 12 10
ASEAN地域でのリニューアル事業の強化 29 47
②DX推進・システム基盤強化 5 10
③技術の増強(技術研究所改築、技術開発) - 3

PROJECTS 工事実績

主な受注工事

発注者

工事名称

施工場所

千葉貨物施設特定目的会社

(仮称)DPL千葉レールゲート 新築工事

千葉県

地方共同法人日本下水道事業団

東京都砂町水再生センター建設工事

東京都

フジテック株式会社

フジテック株式会社(仮称)品質ラボ棟計画

滋賀県

西日本旅客鉄道株式会社

奈良・郡山間八条南地区BL新設他工事

奈良県

エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社
三菱地所レジデンス株式会社

(仮称)広島市南区皆実町計画新築工事

広島県

株式会社共立メンテナンス

(仮称)御宿 野乃熊本 新築工事

熊本県

主な完成工事

  • (仮称)上野二丁目ホテル計画 新築工事

    発注者

    積水ハウス株式会社

    施工場所

    東京都台東区

    延床面積

    約 7,000m²

    構造/規模

    鉄骨造/14階

  • (仮称)丸徳産業株式会社稲沢第一物流センター
    新築工事

    発注者

    丸徳産業株式会社

    施工場所

    愛知県稲沢市

    延床面積

    約 37,000m²

    構造/規模

    鉄骨造/3階

  • (仮称)Osaka Metro なんばビル プロジェクト
    新築工事

    発注者

    大阪市高速電気軌道株式会社

    施工場所

    大阪府大阪市

    延床面積

    約 7,200m²

    構造/規模

    鉄骨造/地下1階、地上10階

  • 楠葉取水場取水施設耐震改良工事

    発注者

    大阪市水道局

    施工場所

    大阪府枚方市

    施設能力

    450,000 m³/日

  • STOCK INFORMATION
  • STOCK INFORMATION
  • STOCK INFORMATION
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STOCK INFORMATION 株式の状況2024年3月31日現在

発行可能株式総数

58,713,000株

発行済株式の総数

16,157,258株(自己株式20,286株を含む)

株主数

18,963名

大株主

株主名 持株数 持株比率

日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)

1,822千株

11.29%

淺沼組弥生会持株会

775千株

4.80%

平和株式会社

610千株

3.78%

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

508千株

3.15%

株式会社日本カストディ銀行(信託口)

477千株

2.96%

株式会社三井住友銀行

377千株

2.34%

住友不動産株式会社

366千株

2.27%

浅沼 誠

285千株

1.77%

株式会社南都銀行

247千株

1.53%

淺沼組自社株投資会

237千株

1.47%

(注)

1.千株未満は切り捨てて表示しております。
2.持株比率は、自己株式を控除して算出しております。

所有者別株式分布状況