ぬまトーク
厳しい制約に挑む
~国土強靭化プロジェクト~

OUTLINE
このプロジェクトは自動車道を2車線から4車線化するため、関東圏を流れる河川に新しい橋を架ける工事で、工業団地や倉庫の増加に伴う周辺地域の渋滞解消、首都高速道路に依存しない新たな物流ルートを整備することで国土強靭化を促進するという大きな社会的意義を持つものだった。過去の工事実績と提案内容が高く評価された淺沼組は多くの会社が参加した入札を勝ち抜き受注した。
工事内容は河川内に橋脚を築造する下部工事で大規模案件だったが、約2年間の工事期間で、計2回の非出水期(11月~5月)しか工事ができないという非常に厳しい制約を伴ったプロジェクトでもあった。

MEMBER
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最前線の汗かき役
タケさん
営業/土木事業本部
営業第1グループ担当営業として、入札前準備から竣工までのすべてのプロセスに全方位的に関与。
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技術畑の
実直キーマンテツさん
技術設計/土木事業本部
技術設計第2グループ施工計画立案、設計変更や修正設計支援など、技術を軸とした現場・営業支援に奔走。
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工事全体の
道先案内人タニさん
土木施工管理/
土木事業本部 土木部 工事課現場所長として契約関係業務をはじめ、原価管理や安全管理など幅広い業務を担当する現場の代表者。
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積算・見積の
プロフェッショナルヒラさん
工務部/土木事業本部
工務第2グループ入札前は予定工事価格の予測、積算と見積を行い、受注後には現場の設計変更に対する支援を担う。
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業界の評価も高い
現場の匠イノさん
土木施工管理/
土木事業本部 土木部 工事課監理技術者として発注者との打合せ及び交渉、施工に関する協力会社との調整など、あらゆる現場実務に従事。

目次
Question 01
どんなプロジェクト?

(営業)
今回のプロジェクトは大型案件でしたから「何としても取りたい!」という気持ちで入札に臨みました。入札前の準備では特にヒラさんやテツさんにお世話になりましたね。

(工務)
タケさんのいう通り大型案件ということもあり、積算と見積の難易度は非常に高かったですが、過去の実績を踏まえて工事データを分析したり、イノさんの経験も頼ったりして積算精度を上げていきました。ただ、タケさんには『一等賞とってください』って言われただけでしたよね(笑)。

(営業)
いや、それは信頼しきっているからこそじゃないですか(笑)。技術面の提案では、テツさんをはじめとした技術グループの力が欠かせなかったです。

(技術設計)
あの短い工期で、どうやって品質と効率を両立させるかって、ほんと頭を悩ませましたよ。タニさんとイノさんの上司である工事部長や土木部長に相談して、施工上の問題点の洗い出しや工法のすり合わせを進めていきましたね。

(現場所長)
正直、私たちは最初、プロジェクトの内容がよくわかってなかったんだよね(笑)。

(現場主任)
そうでしたね。ヒラさんやテツさんが上司に相談に来てるのを、耳をダンボにして聞いてました(笑)。工期の短さや川の中の工事という難易度の高さから、たとえ受注したとしても「出来っこない」と密かに思っていましたけど(笑)

(営業)
いやいや、イノさんは過去の工事でその力量を高く評価されていて、この現場の施工管理はイノさんしかいないと確信していました。受注が決まったときは正直「宝くじに当たってしまった!」という感覚で、これは大変な工事になるぞ…という思いは密かにありました。

(工務)
私は宝くじに当たったとは思わなかったですけど…、ガッツポーズという感じではありましたね。







Question 02
プロジェクトで
大変だったことは?

(技術設計)
それはもう、工期との戦いに尽きるんじゃないですか?ただでさえ時間がないのに、現地調査を開始した途端、実際の河川敷の高さが設計図よりも低いことが発覚して驚きましたね。

(現場主任)
工事開始前の準備を始めていきなりでしたからね(笑)。ただ埋め立てて地表面を上げるだけでは重機の重さで地盤が沈んでしまうので、埋め立てた場所をどう補強するかについて技術設計グループと相談して、発注者に了承をいただくなど、追加作業に1ヵ月ほど要しました。

(現場所長)
現場で指揮する私のほうでは、すぐに担当社員を3倍に増員しました。その後、複数の重機の同時搬入や工事時間の延長などフル回転で対応しました。なかでも、技術設計グループが推進した掘削方法の変更が工期の短縮にすごく効果的だったと思いますよ。

(技術設計)
ありがとうございます。川の中の工事ということもあって設計上は水を張って掘る水中掘削を指定されていましたが、現地を確認すると設計ほど水位は高くなく安定した地盤でしたから掘削方法を変更することで大幅に工期を短縮できると考えたんです。

(現場主任)
テツさんには施工方法についても都度相談させていただいて本当に助かりました。2020年と2021年の工事の間には3Dシミュレーションを作成してもらって、そのおかげで事前に工事の進め方をより明確にイメージできたので、当初の想定に近い形で施工を進められました。

(技術設計)
机上の数式と実際に現場で起こることは違いますからね。出来る限り現場に足を運んで、この目で状況を見て感じたことから次の手を打つことを大切にしてました。

(営業)
私は現場がスムーズに工事を進められるよう、発注者と現場との情報共有をメインに進めていましたが、やっぱりみんなで一つのチームとして同じ目標を共有できていたのが大きいですよね。職務が違っても、信頼し合ってプロジェクトを進められたからこそ、あのタイトな工期の中でも予定通りに竣工できたんだと思います。まあ、ときには意見の衝突もありましたけど(笑)。タニさん、そのあたりどうですか?

(現場所長)
それぞれの立場で、国土強靭化に直結するこのプロジェクトを絶対に成功させたいという思いを強く感じましたね。私の場合は、何としてもスケジュール通りに無事に工事を終わらせなければという責任感が自分を駆り立てていました。

(工務)
私も同じ想いです。チームの一員として自分の職務を全うし、プロジェクトの成功に貢献するんだという思いがすべてのメンバーの原動力になっていたと思います。

Question 03
プロジェクトの成果は?

(営業)
我々が携わる橋脚築造工事は無事終わりましたが、その上を走る道路や他の区域の工事を経て、全線が開通する予定です。

(現場主任)
私は現在担当している現場に行く途中、開通に向けて徐々に完成に近づく橋の姿を毎週目にするんです。大変なことは数多くありましたが、公共性の高い工事をやり遂げた安堵と達成感がよみがえってきますね。あと、このプロジェクトを終えて何より強く思ったのは…

(営業)
あれですね(笑)

(現場主任)

(現場所長)
「終わらない工事はない」(笑)

(笑)

(営業)
工期への対応がいかに大変だったかを物語る重い言葉ですね(笑)。今回のプロジェクトに対しても発注者から高い評価をいただき、新たな案件を受注することができました。タニさんもイノさんもすでに次の案件に携わっていますよね。まさに、“仕事が仕事を生む”いい循環を作れていると思います。






Question 04
プロジェクトの
今後について

(現場所長)
現在、洪水による壊滅的な被害から首都圏を守るため積極的に堤防整備が進められていますが、私はそのひとつである高規格堤防建設工事で「壊れない堤防」を作るために奔走しています。非常に重要な工事を任せてもらっている喜びがある一方、それ以上のプレッシャーを感じる日々ではありますね(笑)。

(現場主任)
私は道路のバイパスの一部となる橋梁工事に携わっています。今回のプロジェクトの実績を評価していただき、タケさんが次の案件も任せてくださってとてもありがたく思っています。そうした現場でしか獲得できないノウハウをぜひ後輩たちに伝えていきたいですね。

(技術設計)
私も今回で得た経験や気づきなどを形式知化して、淺沼組の技術的資産として後進に受け継いでいく重要性を感じています。完成した光景を現地の堤防の上から眺めたときは社会貢献できた喜びがあふれてきて本当にうれしかったですから…若いメンバーにもそうした思いを味わってほしいです。

(工務)
プロジェクトに関わって、工務という仕事のやりがいを改めて感じることができました。現在、多くの社会資本は高度成長期の建設から50年以上が経過し、老朽化しています。その社会資本整備の担い手として建設業が果たす役割は計り知れないですし、我々が施工する土木工事が少しでもその架け橋になってくれればこの上ない幸せです。

(営業)
たとえば、首都圏が直下型地震に見まわれれば日本中のあらゆる地域からの物資運搬が必要になります。そのための高規格道路整備をはじめとした国土強靭化への取り組みは続きますし、今回の経験を活かして国土強靭化に貢献する工事にこれからも携わっていきたいという思いを強く感じました。そのときはまたこのメンバーと仕事がしたいですね。
