稲盛和夫氏が京都大学の未来と総合的な研究の推進を期して寄贈された記念館。 鴨川に面し、吉田キャンパスの西ゲートにあたる南北120mの細長い敷地に建設された、大学の研究室群、京都賞ライブラリー、大学の歴史資料を展示公開するアーカイブ映像ステーションから構成された社会に開かれた教育・交流の拠点センターである。
研究個室群の大半が西側に面しているため、有効な西日対策を施して室内環境を整えることと、100mを超える長いファサードに京都ならではのスケール感をもたらすこと、個室群の要請に対して将来のフレキシビリティを最大限確保することが大きな課題であった。
奥行き3mのPC庇と木造スケールに倣った1間ピッチの鋼管細柱を採用するなど、繊細で深みのある京都の町並みになじむものとした。
外部ブラインドは下部からせり上がる形式で、庇との組み合わせによって日射を遮りながらも室内から空が見えるよう上部を開放できる。
床をH250のOAフロアとし、また天井内に空調機本体を設置するなど、設備計画はメンテナンス性を重視した。
「三十三間堂」を思わせるファサードは、鴨川沿いに京都らしい気品ある景観をつくり出した。意匠性と共に西日対策を施した深い庇と自然通風を利用し、居心地のよい研究室をつくっている。稲盛財団の寄付による文化・芸術に大きく寄与する大学施設であり、社会への貢献度も高く評価され選定された。
株式会社日建設計の設計監理物件で、竣工後1年以上経過した建物の中から、他の模範となる施工管理が行われ、かつ工事の出来栄えが特に優れていることを評価し、選定された。